性能向上リノベーション【マンションの断熱と空調】
更新日
2025年もいくつものリノベーションに携わることで、いろいろな気づきをいただきました。
その中のひとつ、昨年から引き続きにもなりますが室内の温熱環境。
いわゆる「断熱」や「空調」をどのように考えるか。
これまでマンションリノベーションでは要望にあがらなかった断熱性能向上のご要望が同時期に複数も…
その要因はいくつかあると思いますが、時代が求めるものの移り変わりを実感します。
(前回の断熱の記事はこちら“リノベーション完成見学会【断熱/マンション】”)
マンションの断熱改修の実例が世間的にもまだ多くない中で
専門家の方と試行錯誤しながら計画を進めていくわけですが、既設ありきのリノベーションには規制がつきもの。
マンションの状況(角部屋か、最上階か、天井高や梁の位置、エアコンや換気扇の位置…)にもよりますし
空気の流れをつくるという意味ではレイアウトにも影響してくるので
どの状況下でも完璧な形はなく、様々な視点から最適解をみつけるという考え方が必要です。
昨年の断熱改修工事は主に施工性の点から2つの断熱方法を使い分けました。
①フェノールフォーム保温板による断熱改修

柱間に板状の断熱材(フェノールフォーム保温板)を充填

隙間なく充填の上、気密テープで納めます

マンションではこのような断熱性のあるボードでの改修が一般的だと思います
今回は熱伝導率が低く、性能の高いフェノールフォームを採用しました
②吹付硬質ポリウレタンフォームによる断熱改修

発砲して膨らむウレタンが予め立てた柱から飛び出ないようにするため
二人一組で一人がホースでウレタンを吹き付け、ひとりが硬化前に削ります

柱も一本一本養生してきれいに納まりました
(この細かな配慮にその後作業した大工さんも感激)

1マスずつ塗り絵のように埋めていきます
ちなみにこのホースの先は、駐車場のトラックとつながってます
そのため、駐車場から作業現場までホースが届くかでこの方法での吹付施工の可否がほぼ決まります

発砲から硬化まで発熱するのでぽかぽか暖かかったです
およそ半日で完了
吹付より養生の方が大変そうでした…
その他にも吹き込み式で再生紙を使用したエコロジーなのセルロースファイバーや
そもそも紙に加工する前の木繊維の断熱材などの吹き込み式の断熱も出てきてます。
アメリカやドイツでは普及しているそうなので、いずれは日本でも一般的になっていくかもしれませんね。
断熱シミュレーション
上記のような壁の断熱、さらには内窓を搭載するしないでどれくらい変わるかシミュレーション。
見た目のデザイン以上に温熱環境をお施主様と共有することは難しいですが
省エネ住宅の基準と比較してどの位置づけとするか、という目安になると思います。



[断熱シミュレーション協力:株式会社ユニソン]
空調計画
断熱性能を高めた上で、省エネルギーで無駄のない空調計画を目指します。

こちらは天井カセット型エアコン2機で全室を空調する計画としました。
温度ムラできないように空気の流れを作ったり、そのためにレイアウトを調整したり…これがまた奥深いです。
二邸の断熱改修を伴う全面リノベーション工事をご紹介しましたが、内装もかなりこだわってつくりました。
全貌は事例ページに掲載予定で撮影しますので気長にお待ちください。
「断熱工事」や「全館空調」は、やるかやらないか、100か0か、みたいなイメージがありますが
例えば冬の装い選びのように、誰もが真冬でも暖かい最高級スペックのダウンジャケットを求めているわけではなく
スペックはほどほどで好きな色や形のダウンがほしいとか、洗濯できる方がいいから化繊中綿がいいとか
もう少しそれぞれの趣向や生活に寄り添った「温熱環境」のご提案をしたいと常々思ってましたが
今回ご用命いただいたお施主さま方もそのようなお考えをお持ちの方々でした。
まだまだ勉強中ですし、リノベーションでは常に応用力を求められるので
間取りやデザインだけでなく、そこを流れる空気にまで寄り添った提案できるよう今後も努めます。