journal

  1. HOME
  2. journal
  3. 愛着は残す【K様邸リノベーション】

愛着は残す【K様邸リノベーション】

更新日

「どこを切り取っても丁寧に暮らされている住まい」

-これが最初にKさんの現地調査に伺った率直な感想でした。

団らんの場にはヴィンテージのハンス・J・ウェグナーのエクステンションテーブルやソーイングデスク、

ダイニングにはCH24(いわゆるYチェア)と、北欧への憧れを感じるあたたかい家具が並ぶ家族団らんの場。

天井からは当然のようにペンダントライトPH5がぶら下がる。

そんなお宅の調査を終えると、手回しのミルで豆を挽いたコーヒーとお菓子で手厚いおもてなし。

天井に埋め込まれたスピーカーからはベートーベン。

ご夫婦仲良くおしゃべりで話しがとまらず、心地よくあたたかい時間で

聞くと毎日の夫婦ふたりのこの時間を楽しみにされているそう。「ヒュッゲ」な時間とも仰られていた。

そんな既に素敵に暮らされているKさん宅は20年前にほぼ新築で入居される際に

キッチンやLDKの壁や造作収納など最低限手を加えられていた。

そのお宅以前も、家を建てられたり別荘を建てられたりと、住まいの経験値も関心も高い。

現状の住まいも気に入っている部分はたくさんある。

けど…

暗くて寒い部屋があるのが嫌…

新築のままのチープなフローリングがどうしても好みではない…

その辺りの問題、実は住まいの核の部分で簡単には改善できない。

表面的な改装ではなく、床も壁もめくる根本的な改装が必要になる。

仮住まいも考えると転居しちゃった方がいいのか…

諸々の手間や費用を考えるとやはりこのままここに住み続ける方がいいのか…

いろいろと足を運ばれ、様々な意見をいただいたそうですが

最終的に慣れ親しんだこの環境で「自分たちの好きな空間で暮らしたい」と

ご自宅のリノベーションされることを決断されました。

とは言え、やはり好きな部分もたくさんあるし「ヒュッゲ」な時間も変えたくない。

残すところと変えるところ、そこを整理することがテーマのひとつでした。

 

まず、キッチン。

レイアウトと床材変更に伴い床レベルが変わるためキッチンは取替することが一般的ですが

先述の通り、入居時にオーダーキッチン屋さんに製作してもらい愛着のあるもの。

扉の面材に劣化があったのでそこは取替えたいが、他はなるべく活かしたい。

面材は難しいが引き出しの金物は再利用しよう、など

部材レベルで向き合えたことは大切なプロセスだったのではないかと思います。

正直な話、全部まるごと取替えた方が楽だし工事も簡単です。

部材を再利用と言っても大きなコストダウンにつながるわけでもない

年季の入っている部材のため故障のリスクもある

それでも再利用を進めたことが、このリノベーションの核になったと思います。

 

もう一点だけご紹介。既存の折り上げ天井の段状のクラシックなディテール。

ここも以前のリフォームで造作してもらったものだそうで

現地でお話をうかがった際、愛着を持たれているポイントのひとつという印象でした。

ただ今回の工事で床組みの影響で天井高が低くなり、天井にボリューム感が出すぎると圧迫感につながる

また採用するのであればシンボルとなり得るような使い方ができればと、慎重に検討を進めました。

既存の天井埋め込みスピーカーの配置計画する際、やむを得ずできたLDK中央の下がり天井に

ここぞとばかりにそのディテールを踏襲。その案を説明した時とても喜んでいただけたのが印象的でした。

スピーカーの埋込深さ、カーテンボックスの深さ、さらにはパイプシャフトの位置など

現況合わせの規制がある中、現地で大工と原寸図で形状を検証したこともいい思い出です。

その他にも、もともと使われていた大量の可動棚板(パイン集成材とシナランバー)も

工事中ずっと現場の一角にあり造作工事終盤まで作業スペースを圧迫してましたが…

壁が出来上がった後、カットして振り分けたり、足りない分は追加するなど

これまた愛着を引き継げたのではないかと思います。

 

性能向上させたい反面、愛着のあるものは残したいと思う気持ちは

長く住んでいる住まいであれば、誰しも感じることだと思います。

 

そのリノベーションの核が何なのか、今後も向き合っていきたいです。

 

※もうひとつの核「断熱・空調」の記事はコチラ

”性能向上リノベーション【マンションの断熱と空調】”)

各種お問い合わせ